東慶寺
2009年 09月 25日
生と死と、詩が浮かんでは消えてゆく。
すると雨が、消えゆくものをより強く心に残すのです。
【松岡山 東慶寺 (とうけいじ)】
1285 年に創建された北鎌倉のお寺です。
鎌倉幕府第 8 代 北条時宗夫人の覚山尼が開山しました。
縁切り寺として有名です。
その昔、東慶寺は駆け込めば離縁できる女人救済の尼寺でした。
現在は禅寺としてその風情を今に残しています。
私にとって東慶寺で思い出すのは、
仙台のカフェで読んだ
詩人・谷川俊太郎の 「父の死」 という詩です。
谷川氏は 94 歳で亡くなった父の葬式において、喪主としてこの詩を読んだそうです。
斎場がこの東慶寺でした。
その内容は、
詩人らしくナルシストに富んでおりウィットなものです。
その文章の中に私の心から離れない一節がありました。
以下に転載させてもらいます。
眠りのうちに死は
その静かなすばやい手で
生のあらゆる細部を払いのけたが
祭壇に供えられた花々が萎れるまでの
わずかな時を語り明かす私たちに
馬鹿話の種はつきない
葬式という儀式を見事に詠んだこの一節が、東慶寺の印象をより強くさせました。
神奈川県鎌倉市山ノ内1367
JR横須賀線 北鎌倉駅から徒歩 10 分
北鎌倉の細い道路を脇へゆくと、簡素な山門が見えます。
花の綺麗なお寺なんですが、訪れた時期は新緑。
緑にしっとり降る雨も、また良しです。
釈迦如来坐像を祀る本堂「泰平殿」。
鎌倉のお寺にしては珍しく、力強さは無くおっとりした印象。
尼寺だったからでしょうか。
by hk_temple1978
| 2009-09-25 01:03
| 神奈川