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日本のお寺や神社をご紹介するブログです


by hk_temple1978

東慶寺

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生と死と、詩が浮かんでは消えてゆく。
すると雨が、消えゆくものをより強く心に残すのです。


【松岡山 東慶寺 (とうけいじ)】

 1285 年に創建された北鎌倉のお寺です。
 鎌倉幕府第 8 代 北条時宗夫人の覚山尼が開山しました。

 縁切り寺として有名です。
 その昔、東慶寺は駆け込めば離縁できる女人救済の尼寺でした。
 現在は禅寺としてその風情を今に残しています。
 

 私にとって東慶寺で思い出すのは、
 仙台のカフェで読んだ
 詩人・谷川俊太郎の 「父の死」 という詩です。

 谷川氏は 94 歳で亡くなった父の葬式において、喪主としてこの詩を読んだそうです。
 斎場がこの東慶寺でした。

 その内容は、
 詩人らしくナルシストに富んでおりウィットなものです。
 その文章の中に私の心から離れない一節がありました。
 以下に転載させてもらいます。


  眠りのうちに死は
  その静かなすばやい手で
  生のあらゆる細部を払いのけたが
  祭壇に供えられた花々が萎れるまでの
  わずかな時を語り明かす私たちに
  馬鹿話の種はつきない

 
 葬式という儀式を見事に詠んだこの一節が、東慶寺の印象をより強くさせました。


神奈川県鎌倉市山ノ内1367
JR横須賀線 北鎌倉駅から徒歩 10 分




 
 北鎌倉の細い道路を脇へゆくと、簡素な山門が見えます。
 
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 花の綺麗なお寺なんですが、訪れた時期は新緑。
 緑にしっとり降る雨も、また良しです。
 
東慶寺_e0121753_084432.jpg


 釈迦如来坐像を祀る本堂「泰平殿」。
 鎌倉のお寺にしては珍しく、力強さは無くおっとりした印象。
 尼寺だったからでしょうか。
 
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by hk_temple1978 | 2009-09-25 01:03 | 神奈川